ココカラゲンキ!

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伝えたいことがまとまらない!と悩んだときの本質的解決法

【この記事を読んでほしい人】

・伝えたいことを人に伝えるのが苦手だと思っている人

自分の気持ちや考えを頭の中でまとめることが苦手だと感じる人

 

 

 

こんにちは。kaakikoです。

 

先日、とある30代男性のお客様から、弊社のビジネスコミュニケーションスクールあてに以下のような相談メールをいただきました。

私は、簡潔に物事を説明することが苦手です。自身の考え方や感覚を言語化することが苦手で、うまく説明しようと思っても時々何を行っているか自分でもわからなくなる時があるります。

また、細かく時系列に話してしまったり、理由や例などを含めて冗長に話してしまい、伝えたいことの要点がまとまらないことがあります。どうしたらいいでしょうか?

このようなお悩み、実はよくお受けするんですよね。

私も、今でこそブログをよく書いていますが、最初のころは一つの記事(3000字レベル)に4時間もかけるほど、考えをまとめることに苦労していました。

 

もっと早く考えられるようになるために、いろいろなビジネス書(あの歴史的名著である考える技術・書く技術も!)を読み漁りましたが、まったくうまくいきませんでした。

ロジックツリーとかピラミッドストラクチャーとか、ずいぶん勉強しましたが、結局それらの高尚なツールは、朝礼で話すスピーチにすら応用が利きませんでした。

 

それもそのはず、単なるテクニックだけでは、話をまとめることなど到底無理だからです。

では、どう解決していけばよいのか。この記事で(勝手に)回答していきます。

 

本当は「伝えたいことがない」のでは?

意見だったり考えをまとめることは、なんだか頭の良い人がやることのように思えますが、全く違います。

自分が伝えたいことがまとまらない人は、頭の良しあしの問題ではなく、実は伝えたいことがないからという原因が9割を占めます。

 

少なくとも義務教育を終えた大人に、「伝えたいことをまとめる力がゼロ」という人はいません。

 

 みなさんも、自分が興味あることだったり身近なこと(例えば友人から恋愛相談を受けているときとか)だったりすれば、頑張らなくても何かしら考えは浮かんでくるのではないでしょうか。

就職活動でも、面接官に対して自己PRや志望動機を(入社可能なレベルで)述べられたはずです。

会社に入っても上司に報告するなど、1日最低1回は人に自分の考えを伝える行為を行っていますよね。

ましてや子供ですらも、「このおもちゃ買って!!」などという(自分勝手ではありますが)意見を言えますよね。

 

つまり私たちは、自分の考えをまとめて人に伝えるという行為を何千回・何万回と繰り返しながら、今日この日まで生きているのです。回数だけでいえば、もはや達人級ですよね。

 

だからこそ、問題は「伝えたいことをまとめる」技術というよりも「そもそも伝えたいことがあるか?」が重要なのです。

 

「考えをまとめる力」は情報量に比例する

伝えたいことがまとまらない現象を、自分の頭の回転が遅いせいにしたくなるときってありますよね。

しかし、頭の良しあしは関係ありません。

 

ポイントは、そのテーマに対してもっている情報量です。

 

考えを人に伝えることは、食材を調理して人に提供することに似ています。

調理技術以前に、そもそも食材がなければ調理は不可能ですよね。カレーを作りたいのに、冷蔵庫にはキャベツしかない!では、逆立ちしてもカレーはできませんよね。

 

マッキンゼーで14年間活躍した赤羽雄二氏は言います。

「ゼロ秒思考」といっても、情報が不足していればもちろん最小限の調査・情報収集が必要となる。そうでなければ考えるベース、枠組みがなく、当てずっぽうになる。問題や解決策に関してある程度の背景知識がなければ、自己流すぎる判断となり、場合によって大きく見誤ることになる。

 普段からアンテナを立てておくこと、感度を高く持っていろいろなことに関心を持っておくことが大切だが、それでも足りない場合は、さらに調べたり、詳しい人に聞いたりすることになる。

出典:思考力を確実にアップさせる「メモ書き」の方法 | 「ゼロ秒思考」のつくり方 | ダイヤモンド・オンライン

 

ロジカルシンキング・ブームを巻き起こしたマッキンゼーですらも、ロジカルシンキングそれ自体というよりも、情報量を重視しているわけです。

 

もちろん、情報量が多ければ無条件に良いというわけでもありませんが*1、普段からどのくらいその問題なりテーマについて情報を集めているか、によって出てくる意見の質は事実変わります。

 

私も、いきなり「向こう5年間で日本がとるべき経済戦略について意見を述べよ」と言われたらポカーンとなります。経済に関する知識がないからです。

逆に、コミュニケーションや教育、営業については語れます。なぜなら、これまで経験を通じて蓄積してきた知識があるからです。

 

もし皆さんの中で「会議で意見を求められても、考えがまとまらない」とか、

「急に上司から質問されても答えがまとまらない」と感じるのであれば、

そもそも、自分はその物事に対してどれだけの知識を持っているのか?

と自問してみましょう。

 

たとえば会議で「来期の新卒採用戦略を考えてきて」というお題を出されたのであれば、少なくとも以下のポイントについて情報を集める必要があります。

 

  •  社長や人事部長が考える来期の採用方針は?
  •  向こう5年間の中期経営計画はどうなっているのか?
  • 会社の企業理念・ミッション・ビジョンは何か?
  • 今の会社は拡大路線に進んでいるのか?それとも緊縮路線に進んでいるのか?
  • 人材ニーズがある部署では、どんな人材を求めているのか?
  • 今の就職市場の状況はどうなっているのか?
  • うちの会社とライバルになりそうな企業はどのような方向性で採用活動を行っているのか?
  • 営団連の方針はどう変わりそうか?

 

逆に、これだけ情報が集まってきたら、伝えたいことの骨子は概ね見えてくるのではないでしょうか。

 

つまり、伝えたいことをまとめるための大前提として重要なのは、

どれだけ泥臭く、めんどくさがらずに情報をかき集めてきているのか?

ということです。

 

言い換えれば、伝えたいことをまとめる力は、これまで「どんな問題意識をもって、どう時間を使ってきたのか」が全て影響してくるということです。

もはやこれは、自分の人生の生き方にもつながる話ですね。

 

小さなプライドはゴミ箱に捨てる

プライドとは「相手からよく思われたい」という気持ちです。このプライドが活発な思考を阻害してしまうことは往々にしてあります。

 

例えば私の場合、同じ会社内の5~6人でディスカッションをしていると、

  • 「これを発言したら、相手になんて思われるかな」
  • 「この発言をしても、相手からあまり良い反応は得られないんじゃないかな」
  • 「この発言をしても、どうせ一蹴されるんじゃないかな」
  • 「自分がしゃべったって、結局相手にうまく伝わらないんじゃないかな」

と、「相手に悪く思われたくない、否定されたくない、傷つきたくない」といったプライドでガチガチになっていました。

まさに頭の一時停止ボタンを押してしまったような、もう「思考停止しているぞ」と自分でもはっきりと分かるくらい、思考がうまく働きませんでした。

 

以前話が理解できないと感じてしまう原因を全部挙げてみた【メンタル編】 - ココカラゲンキ!でも述べましたが、

ネガティブ感情に支配されるときは、脳が「今生命の危険に脅かされている」と判断しています。したがって、一刻も早く身の安全を確保することが最優先事項になり、そこに全てのエベルギーが回されます。理性的な思考は二の次になります。

 

 自分のプライドにとらわれていると、相手からの評価を異常なほど気にしてしまい、ちょっとした表情や言葉にも敏感に反応してしまいます。それだけで疲れますよね。

 

さらに言うと、自分に自信がないときほどプライドを守ろうとするので、被害者意識が強くなります。ひどいときには、相手のちょっとした言葉や態度のすべてが自分に否定的な評価を下しているように感じてしまうこともあります

そうなると、ますます話す内容をまとめるという高度な知的作業には気が回らなくなります。「はやくこの場から逃げたい!!!」という気持ちでいっぱいになります。

 

なので、プライドは丸めて生ごみと一緒に捨てる!とい覚悟が重要です。

馬鹿だと思われてもいい。相手と勝手に張り合っていると勝手に疲れます。

知らないことは知らないと認めて、その場で聞いてしまったほうが100倍賢いです。

 

「伝えたいことをまとめる本」は捨てていい

考えがまとまらないからと感じると、それに関連したビジネス書を買って勉強しようと

思う方もいるかもしれません。しかし断言します。話をまとめるテクニックを得るために本を読んでも、その9割は無駄になると思っていただいて構いません。

 

なぜならば、これまで述べてきたように、伝えたいことをまとめるためには、

  • 今の仕事の文脈で常に問題意識を働かせながら泥臭く情報をかき集めたり、
  • 自分のプライドを捨てるという心の葛藤を乗り越える

ことが必要になるからです。

その結果はじめて、本来もっていた「話をまとめる能力」を発揮することができます。

 

伝えたいことをまとめる努力とは、すなわち人間力の鍛錬と言い換えても決して大げさではないでしょう。 

この2点を念頭において、また明日から仕事を頑張っていきましょう!

*1:とはいえ、実際は「結論を出さずに、いつまでも情報を集めることに終始してしまうケース」もあります。しかし、今回の記事は「最低限の情報すらもっていない人」を対象に書いていますので、このケースについては別の機会で扱います。