頭の回転が速い人になれる!ゼロベース思考を鍛える最強の読書法
こんにちは。kaakikoです。
人と会話しているときに、
- 展開の速い議論についていけない。
- 相手の意見に対して、「そうかなあ」と思って、本当はちょっとひっかかるところもあるけど、「まあいいか」でやり過ごしてしまった。
- 「あなたはどう思いますか?」と聞かれて、少しはもやもやしていることがあるのに、はっきりと自分の考えがまとめられずに、結局は「とくにありません」と答えてしまった。
ということはありませんか。
このような場面は、私もたくさん経験したことがあります。
日常的な会話ならまだ流せることでも、仕事の会議になると黙っているわけにもいきません。
しかし、いざ考えようとするととたんに思考停止になってしまい、言葉が出なくなることがよくありました。勇気を出して発言しても、すぐ他人につっこまれてしまい、それに対して言い返すことができずに結局黙りこんでしまう。
そんな経験を通じて、「私は頭の回転が遅いのでは」と感じるようになりました。
どうしたらもっと頭の回転が速くなるのか?
どうやったら、いろいろな角度から意見をものを考えられるようになるのか?
このような問題意識に苦しんでいたある日、この本に出会いました。
苅谷氏の「知的複眼思考法」は、表面的な常識に安易に納得することなく、ゼロベースでとことん思考を深める方法について説いています。
氏の鋭い洞察は、刊行から30年以上経過した今でも全く色あせることなく、思考停止になってしまいがちな私たちに強く警鐘を鳴らしています。
この本で書いてあることをマスターできれば、最近のビジネススキル本は必要なくなるといっても過言ではありません。
そこで今回は、この本の中から「ゼロベース思考を鍛える読書法」について紹介していきます。
読書は自分のペースで読められる分、思考力を鍛える手軽な手段として非常にお勧めです。ぜひ、今回ご紹介する内容を使って読書していきましょう。
- 頭の回転数を上げる第1歩は、ありきたりの常識から脱却すること
- 著者の思考過程を想像し、著者と対等な立場に立つ
- 著者の論理展開を丁寧に追っていく
- 著者の目的・狙いを見極める
- 隠れている前提を探る
- 読書を通じて頭の回転速度を上げよう
頭の回転数を上げる第1歩は、ありきたりの常識から脱却すること
「今は情報化の時代だから・・・」とか、「グローバル化の進む現在の日本では・・・」とか、「今の日本は『構造改革』が必要だから・・・」とか。あるいは、「これは決められたルールだから、○○すべきだ」とか、「そんなことは前例がないから、△△できない」とか。
私たちの身の回りには、こうした紋切型の決まり文句があふれています。
もちろん、こうした発想のすべてがまちがっているというわけではありません。しかし、このようなスレテオタイプ的な発想に出会ったっとき、私たちは、改めて深く考えることもなしに、「ああそうか」「そんなものか」と反射的に受け取ってしまうことが少なくありません。自分なりのとらえ直しをしないまま、こうした紋切型を受け取る。
しっかりした事実や根拠が示されていなくても、ステレオタイプの「常識的な」見方を「当たり前」のこととして受け入れてしまう。そして、たいていはそこで何となく納得し、その先を考えるのをやめてしまう。
「自分の頭で考えなくなる」、その第1歩が、こうした「常識」へのとらわれにあるのです。
頭の回転を速くするためには、まず「常識に安易に同意しない」と決意することが重要です。
裏を返せば、私たちはいともたやすく常識にとらわれてしまう生き物だといえます。
その姿は、ゼロベースで自由にものを考える本来の姿とは対極に位置しています。
常識は、一見すると非常に理にかなっているように見えるので心地よく、それ以上思考が進まなくなります。また、相手の言い分に「そうだね」と合わせているほうが会話が進みやすくなるという側面もあります。
一方で、思考が活性化している人は、頭の中で「ほんとうにそうなの?なぜ?」と常識を疑い、複数の視点から立体的に対象をとらえ直しています。つまり、ゼロベースで思考しています。
たとえば、ピラミッドを考えるときに、私たちはつい「三角形」を思い浮かべますが、それはピラミッドを側面からみた図です。真上からみると、「四角」になります。
このように、頭の回転数を上げるには、まず常識的な思考から抜け出し、安易に納得しないということを意識しましょう。
著者の思考過程を想像し、著者と対等な立場に立つ
どんなに偉い学者でも人間です。したがって、間違えることもあれば、気がつかないうちに飛躍して文章を進めてしまうこともあります。根拠としたデータが不正確なこともある。(略)このように活字メディアをとらえ直してみると、それを読むという行為の意味が違ってきます。ざっと読み流して、簡単に納得してしまうのではない読書。次に何が書かれる可能性があったのかを、探りながら文字を追っていく読書。(略)書き手の書くプロセスを意識するようになると、書きあがったものを「動かざる完成品」だと見る見方は弱くなってくるでしょう。つまり、完成品としてみやみにありがたがって本を読んだり、書き手の言い分をそのまま何となく納得してしまったりという受け身の姿勢ではなく、本に接することができるようになるのです。
著者の論理展開を丁寧に追っていく
論理に飛躍がないかどうか。過度に攻撃的な主張がないか。論理を丹念に追いながら読んでいく。(略)何よりも大切なことは、根拠が薄く支持されない意見が主張がないかを見極めようとする態度です。
会話すると、誰しもこのポイントには気をつけているではないでしょうか。
しかし、ここが曲者でして、結局根拠として「どこかで聞いたことある常識」を持ち出されると、私たちはいとも簡単に納得しがちです。
また、対面の会話で相手が自信満々に言いきると「そうなのかなあ」と、なんとなく信じてしまうことがよくあります。
あるいは、もっともらしいたとえ話や難解な専門用語を出されると、とたんに思考停止になりがちです。
会話だと相手のペースで話が進んでしまいがちですが、読書であれば自分のペースで思考できます。
そのため、読書するときはサラッと読み流すのではなく、複眼的な観点で著者の論理展開を丁寧に追っていきましょう。
- データの信憑性はどの程度あるか
- 使っているたとえ話・事例は妥当か
- 論理が矛盾していたり、飛躍していないか
- 耳触りのよい用語でごまかしていないか
- 可能性に基づいて話を進めているのか、それとも必然性に基づいて話を進めているのか
- 論争が含まれている場合は、著者は反対意見に対してどんな態度を示しているのか。完全否定に近いか、それとも譲歩しているのか
著者の目的・狙いを見極める
文章を書く人は、必ず目的を持っています。
目的は、明確に書かれている場合も、書かれていない場合もあります。著者のねらいがわかれば、理解も早いし、批判のポイントをどこにしぼるのかもわかりやすくなります。
著者が書く言葉には、すべて狙い(意味)があると考えて読書していきましょう。
この原則は、小説だろうと論文だろうと変わりません。
何かを批判したいのか、それとも擁護したいのか。あるいは何かを提案したいのか。
そのような狙いは、直接的な言葉ではなく、書き方(言葉の選び方、強調の仕方など)に表れることも多いので、注意深く見ていきます。
このときは、想像力や観察力を使いながら文字を追っていくので、頭が高速回転しています。
この姿勢が身につくと、対面でのコミュニケーションでも相手の表面上の言葉に踊らされなくなりますので、議論に強くなります。
- どんな読者を想定しているのか
- 何がどう強調されているのか(見出しの書き方や助詞の使い方、言葉のチョイスの仕方など)。それによって、読者にどんな印象を与えているのか
隠れている前提を探る
批判的な読書を行ううえで重要な第4のポイントは、著者の前提を探り出し、それを疑ってかかるということです。
出国率(人口に占める延べ出国者数の比率)を見ると、96年の20代の出国率は24.6%であったが、08年には18.4%に低下した。若者の海外出国率が最も高かった90年代半ばと比較して、2000年代後半の若者の出国率が全体として低迷する「若者の海外旅行離れ」が見られた。
記事を読むと、著者が「出国をする人=海外旅行をする人」という前提を置いていることが分ります。
また、実際に出国をする人の中には、長期留学の人もいれば、短期旅行者の人もいるでしょう。どんな出国者を念頭に置いているのかで、記事の書き方は変わってくるはずです。
もしあえてひとくくりにして記事を書いたとしたら、それはなぜなのか。それを考えることも、前提を探ることになります。
前提が変わると議論も変わるため、ゼロベースで考えるときは前提をチェックすることが重要です。
- 意見の表明か、それとも事実を書いているだけなのか
- 主観を交えているのか、それともいちおう客観的な立場に立っているのか
読書を通じて頭の回転速度を上げよう
読書をするとき、ただ漫然と知識や情報を得ることを目的としていると非常にもったいないです。
読書は1人の人間とじっくり向き合ってコミュニケーションをとる場です。
著者の述べることをそのまま安易に納得することなく、複眼的な視点を持って著者の主張を立体的にとらえ直しましょう。
その回数を重ねるごとに、私たちの頭の回転数はみるみる上がっていきます。