「考えることが苦手」を脱却するための3STEP思考法を解説する
こんにちは。kaakikoです。
突然ですが、「考えることが苦手」と思ったことはありませんか。
私は子供のころから、「考える」ことに対して強く苦手意識を持っていました。
ニュースを見ても人の話を聴いても、「ふーん」で終わってしまい、それ以上の言葉が出てこないのです。文字通り、思考停止状態になっていました。
当然、会話はそれ以上発展せず、気まずい沈黙が流れます。
その結果、「会話って疲れるなあ。。ハア。、orz」というように、ますます苦手意識を強めていく。そんな悪循環に陥っていました。
そんな状態では、当然人間関係構築もままなりません。
「話しかけられても、うまく返せずに間が空いたらどうしよう?」と恐怖心を持っていた私は、次第に人との会話を避けるようになりました。
その結果、だんだん周囲の人からも話しかけられなくなったのです。
私は、他人にコミュニケーションを教える仕事をしているにもかかわらず、実は私自身が一番コミュニケーションに悩んでいたのです。
そのため、「どうしたらもっと考えられるようになるのか?」と、日々模索するようになっていきました。
今回は、そんな試行錯誤を続ける中で見出した解決策について、読者の方と共有していきたいと思います。
「考えることが苦手」を打開するヒントになると思いますので、是非お読みください。
- Step1:人から話を聞いたら、常に「それはどういうこと?」と自問する
- Step2:「それは本当なの?」と、自分でも一応調べてみる
- Step3:「あれ?」という、ふとした疑問を深堀りしていく
- まとめ:「考える」ための第1歩は、サラッと書かれていることに対してツッコミを入れること
Step1:人から話を聞いたら、常に「それはどういうこと?」と自問する
先日、Shinさんから「ラーニングピラミッド」という情報を教えていただきました。
ラーニングピラミッドですね!なるべくアウトプットしたほうが成長が早いと思います。
— Shin | 戦略コンサルタント (@Speedque01) July 23, 2018
私は、「ラーニングピラミッド」という言葉を初めて知りました。
そこで「ふーん」で終わらせずに、「それって何だろう?」と自分に質問して、googleで調べてみたのです。
その結果、「ラーニングピラミッド」は、学習手段ごとの記憶定着率をまとめた理論であることが分かりました。
ピラミッドの数字によれば、講義を聴くだけだと定着率5%なのに対して、他人に教える行為だと定着率90%なんだそうです。すごい差ですね。
主に、アクティブラーニング*1を推進する団体においては、学習手法の科学的根拠として引用されることが多いようです。
上図の ”ラーニング・ピラミッド ” は、教育課程の研修会等でよく紹介されるものです。アメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)の学習定着率の調査に基づくものとされています。そして、概ね、上4段は「受動的な学習」、下3段は「能動的な学習」と説明されているようです。
*つまり、下の3段がアクティブ・ラーニングによって期待される学習定着率だと思われます。
Step2:「それは本当なの?」と、自分でも一応調べてみる
ラーニングピラミッドという未知の情報を得たら、定義を調べて終わりではなく、そこからさらに一歩踏み込んで考えていきます。
次の段階では、「それって本当?」というツッコミを入れていきます。
実際、googleで「ラーニングピラミッド」と検索すると、2018年7/24現在、上位9記事のうち7記事が、アクティブラーニングについて触れている記事でした(赤枠表示)。
確かに、ラーニングピラミッドはアクティブラーニングと関連性が強いようです。
しかし、これらの記事を上から全て見ていくと、あることに気づいたのです。
何かというと、これらの記事では全て、ラーニングピラミッドの出典が「アメリカ国立訓練研究所(NTL)」(habi-do.comより)とだけ記されていて、それ以上の具体的情報はなかったのです。
実際、「アメリカ国立訓練研究所 ラーニングピラミッド」とGoogle検索しても、具体的な実験内容や実験データは出てきませんでした。
具体的な研究データが明記されていないのに、結果だけがやたらと引用されているんです。
これって、おかしくないですか?
Step3:「あれ?」という、ふとした疑問を深堀りしていく
真偽を調べるために情報を見ていくと、「あれっ?」というひっかかりが必ず出てきますので、それをさらに深堀りしていきます。
そうすると、興味深い事実が見えてきました。
南山大学の論文・米国大学・研究図書館協会(ACRL)などですでに指摘されていますが、ラーニングピラミッドの数値には、実は実証データの裏付けが存在しないことが判明したのです。
Lalley and Miller(2007)は,数値の根拠となる調査の詳細を求めて,NTLに連絡を行い,それに対するNTLの具体的な回答を紹介している。
NTLには,どういった調査を元にこの知見が報告されたかという問い合わせが数多くなされているようで,NTLで最初に用いられたと考えられる資料(Figure 2)を紹介し,「このモデルは,1960年代前半に使用されていた」「数値は正確であると考えているが,元となるデータを持っていない」と答えている。
ちなみに、調べて出てきた論文によれば、ラーニングピラミッドの元といわれる理論は、エドガーデールの「経験の三角錐」(1946年発表)だそうです。
検索してヒットした論文を見る限り、デール氏が経験の三角錐を発表した意図というのは、学習方法の絶対的優位性を説くものではなく、状況に応じた学習法を考えるためにその抽象度を整理しただけのようです。
実際、効果的な学習をするためには、抽象的教材(先生の話を聞く、教科書の字を読むなど)と具体的教材(視覚教材、直接的経験など)を組み合わせる必要があると述べています。
His cone did not refer to learning or retention at all, instead modelling levels of abstraction: words being the most abstract in his model, at the top of the cone, and real-life experiences the most concrete, and at the base of the cone (Lalley & Miller, 2007, p. 68). Take a look at the image below left: note that there are no percentages listed, this is purely a theoretical model. Dale did not value one mode over another, but argued for a wide variety of modes depending on context (Molenda, 2004, p. 161).
出典:Tales of the Undead…Learning Theories: The Learning Pyramid – ACRLog
Daleは,学習指導における視覚教材について,重複する部分や扱い方によっては位置が上下することも注意しながら,このモデルを提示した。
たとえば,
「学習指導の実際の場面では,三角錐の上位層に属する種々の抽象的教材が取り入れられ,組み合わされて,初めて所期の効果を挙げることができるのである。
実際,ある一つの授業を考えてみても,直接経験,感覚経験の領域での責任ある直接参加から,高度の抽象性に至るまで,広い幅を持つ領域が含まれている。」
と述べているように,レベル間の重複を認めている。
つまり、現在流通しているラーニングピラミッドとは、当初の理論からどんどん派生した独自のアイディアであり、しかもデータで実証されていないものなのです。
ちなみに、アクティブラーニングは、ハーバード大学やMIT、産業能率大学、埼玉県立高校などで取り入れられているようなので、やはりある一定の効果を生んでいるのでしょう。
ですから、個人的にはアクティブラーニングに否定をするつもりは毛頭ありません。
しかし、実証がなされていない理論を多くの記事が持ち出すあたりは、やや眉唾感を感じざるを得ません。
また、個人的には、読んだり聴いたりする行為が「受動的な学習」だという主張にも賛同しかねます(例えば読書も、ちゃんとやると非常に頭を使います)。
まとめ:「考える」ための第1歩は、サラッと書かれていることに対してツッコミを入れること
したがって、「考える」ときは、もっともらしい理論やデータを出されたら、そこで「ふーん」で終わるのではなく、
- 「結局、それは何?」と定義を明確にして、
- 「それはほんとなの?」と確かめて、
- 「あれ?」という小さな疑問を深堀りして膨らませていく
ことが重要です。
もちろん、ツッコミを入れる目的は、否定することではありません。
むしろ、「情報をありのままに理解する、一体何が起きているのかを正確につかむ」ためにツッコミを入れて、考えを活発に働かせていくことが重要です。
そうすることで、人との会話でも積極的に言葉を出していけるようになるでしょう。
是非、やってみてくださいね^^!