挫折して分かった、ゼロ秒思考メモ書きを使いこなす3つのポイント
★こちらの記事は、続編もございます。ぜひあわせてお読みください。
【続編】挫折して分かった、ゼロ秒思考メモ書きを使いこなす3つのポイント - ココカラゲンキ!
みなさんこんにちは。kaakikoです。
元マッキンゼー赤羽氏のベストセラー、「ゼロ秒思考」はご存知でしょうか。
今回は、メモ書きの実践を通じて私なりにつかんだ「メモ書き実践のポイント」を共有していきたいと思います。私の場合、ポイントを踏まえてメモをすることで、劇的に生産性の向上を実感できました。
生産性をもっと上げていきたい方、ゼロ秒思考メモをもっとうまく使いこなしたい方はぜひご覧ください。
- ゼロ秒思考メモに激ハマりしてたのに、いつの間にかやめてしまった
- ポイント①:問題を「一瞬で解決する」のではなく「時間短縮する」ツールととらえる
- ポイント②:ゼロ秒思考の始まりは、もやもやしている自分を自覚すること
- ポイント③:思考するとは、ゼロ秒思考メモをすること
- 最後に
ゼロ秒思考メモに激ハマりしてたのに、いつの間にかやめてしまった
『ゼロ秒思考』の発売以前から赤羽さんとは就職活動つながりで知り合いだったのですが、改めてその本を書店で見つけた時は、あまりのシンプルさに衝撃を受けました。そして、2014年にゼロ秒思考メモにめちゃくちゃはまりました。最低でも1,000枚以上は書きました。風呂・トイレ・キッチンなど家の要所要所にクリップボードと紙を設置し、ありとあらゆる場所で瞬時にメモ書きができるように工夫したりもしました。
しかし、そこからメモ書きをやらなくなっていきました。
その理由はなぜか。
「ゼロ秒思考メモの形式を守ってメモをとる」ことが目的になっていたからです。
なんのためにゼロ秒思考メモをしているのかをよく考えずに、ただひたすらメモ書きしていました。なので、たくさん書いているはずなのにあまり成長している実感がなく、営業成績はずっとどん底のままでした。そのうち、気づけばメモ書きからすっかり遠のいていました。
それから約4年が経過した2018年から仕事量が急激に増え、もっと成長していかなければいけないという危機感が強くなったため、改めて赤羽さんのゼロ秒思考メモ書きを再開するようになりました。
ポイント①:問題を「一瞬で解決する」のではなく「時間短縮する」ツールととらえる
メモ書きを再開して以来、「どうしたらもっと生産性を上げられるか?」「どうしたらもっと営業がうまくなるのか?」という一心で、ゼロ秒思考をはじめとする赤羽さんの本5冊をもう一度読み返しつつ、メモ書きも毎日平均30枚以上、多い時だと70枚くらい書くようになりました。その中で、はたと気づいたことがあります。
それは、「ゼロ秒思考の本質とは何か?」ということです。
赤羽さんの提唱する「思考をゼロ秒に近づける」とは、一体どういうことなのか?
そこからさらに考えていくと、以前メモ書きを断念した自分は大きな勘違いをしていたことがわかりました。ゼロ秒思考に対するそもそもの認識が大きくずれていたために、使いこなせていなかったのです。
ゼロ秒思考とは、「今ある問題を一瞬にして消し去ってしまう魔法の思考法」ではありません。もしかしたら究極の理想はそこにあるのかもしれませんが、これまでの普通の思考をしていた私たちが、急にそこをゴールにするのは非現実的です。
そうではなく、問題解決ステップを高速で進めて「時間短縮」するための思考法です。
文字にすると当たり前のことを言っているのですが、実はこの認識がかなり重要です。
実際に問題を解決する過程で、人の頭の中では、複数のステップを経ながら思考しています。たとえば、今日の私であれば、
・今何にもやもやしているのか?何が心にひっかかっているのか?
→あの○○さん、遅刻をしたくせにすごく態度が悪かったな。しかも、こっちは一生懸命質問振っているのに回答もリアクションもあいまいで、何を言いたいのかよくわからなかった。挙句の果てには私の話をバカにしたような態度をとっていたし。
→ああ、私は相手の態度に振り回されてしまっている。コミュニケーションのプロのはずなのに超素人じゃん
→そもそも、周りの社員はプロとしてお客様から一目置かれている。でも自分はあんまりお客様から尊敬されている感がないな
→もうこの年次なのに、どうしてこんなにレベル低いんだろう。(周囲と比較して、自分の成長速度に対する焦りが生まれる)
→では自分が持つべき専門分野は?この分野だったら勝てるという状態をどう作るか?
→まてよ、そもそも自分はちゃんとこだわりを持てているか?たとえば、「目線を伏せるときと相手に合わせるときとでは、どう使い分けるのか?」を説明できるか?プロは全ての動作に無駄がない。ということは、全ての動作に根拠があるということ。自分は、その根拠を話せるレベルまで考えていない、というか実はプロになろうと思ったことがない。
→よし、営業現場における自分の一挙手一投足をすべて説明できるレベルで極めてみよう。
…と、このような思考ステップでもやもやを脱却し、解決策を生み出していきました。解決策を見つけるまでにかかったメモ枚数は39枚(39分)でした。
この39分というのは、私にとって革命的です。もし仮にゼロ秒思考メモを使っていなければ、おそらく12時間後の翌朝になっても解決されず、もんもんと引きずってしまっていたでしょう。思考時間が1/10以上に短縮された=生産性が10倍になったということですね。
しかしここで注目すべきは、ゼロ秒思考メモを使ったとしても、問題を自覚してから納得のいく解決策をひらめくまで39分かかった、ということです。
決して文字通り「ゼロ秒で」解決できるわけではありません。
『ゼロ秒思考』をよく読むと、上記と同様の話が述べられています。
もやもやとした気持ちをその場で言葉にし、考えを深められるようになると、考えが進むだけではなく、どんどんスピードアップしていく。3,4日かかって考えていたことが数時間でできるようになる。1か月かかっていたプロジェクトをものによっては1週間で終わらせることもできるようになる。生産性は数倍~数十倍上がる。(p.50)
つまり、ゼロ秒思考は、3,4日かかって考えていたことを1秒でできるようにすることではありません。1か月かかっていたプロジェクトを1分で終わらせることでもありません。ゼロ秒思考メモを使っても、問題解決にいたるまで複数のステップを経ていく以上は、結局ある程度の時間はかかるのです。
しかし、ゼロ秒思考メモは1分単位で思考のステップを進めていくため、これまでと比べると圧倒的な時短で解決にたどりつくというのは間違いありません。
ゼロ秒思考メモに挫折していた私は、そもそも思考することの意味をわかっていなかったのです。だから、この文章にこめられたニュアンスも見落としていました。そして、ゼロ秒思考に過剰な期待をしていました。だから自分を変えられなかったのだ、と今は思います。
皆さんも、ゼロ秒思考メモを始めるときは「時間短縮ツール」として認識するようにしましょう。
ポイント②:ゼロ秒思考の始まりは、もやもやしている自分を自覚すること
2つ目のポイントは、「もやもやしてる自分を自覚する」ことです。
私がゼロ秒思考を再開した当初は、いつでもどこでもメモを書けるように、バインダーとタイマーを常に持ち歩いていました。ランチで会社を離れるときも、財布と一緒にバインダーを持って行くくらいでした。
にも関わらず、気づけばぼーっとしてしまう。いつの間にか手が止まり思考も停止してしまっているということがよくありました。考えが思い浮かんだらすぐにメモを書くようにはしているのに、どうして思考停止になってしまっているのだろうか。本当に悩みました。
しかし、その「考えが思いうかんだら」というところが曲者なのです。
本当に思考を止めるものは、「怒り」とか「不満」とか「不安」みたいな強くて明確な感情ではありません。なぜならば、それらの強い感情は自覚症状が明確なため、すぐにメモを書いてその場で対処できるからです。
むしろ、
「なんだか気持ち悪い、気分が悪い」「どうとは言えないがむずむずする」(p.16)
この、名前すらないような(しいて言えば閉塞感?)、弱くて不透明な感情が実は最も思考の流れを阻害しているのです。この種の感情は、怒りや愚痴みたいに頭の中にぐるぐると言葉が渦巻いているわけではないので、そもそも発生していることすら自覚できません。
赤羽さんは「イメージや感覚を言葉にすることに慣れてくると、だんだん自分の気持ちや思っていることをあまり苦労せずに表現できるようになる(p.19)」と表現していますが、そもそも私は、そのイメージや感覚が発生したことにすら気づかないまま、いつの間にか思考停止していました。もはや、メモを書く以前の問題です。
「思考は言葉によってなされる(p.12)」ということですが、逆を言えば、言葉にできないものは思考の対象になりえないということでもあります。なので、「私はもやもやしてるのね」と言葉を使ってもやもやを自覚するということが、ゼロ秒思考の真のスタート地点なのです。
人間の体も、急性胃腸炎みたいにわかりやすい自覚症状があればすぐ病院に駆け込んで対処できます。しかし、生活習慣病みたいに痛みもなくじわりじわりと進行する病だと、手遅れになりがちです。だから厄介なのです。
ゼロ秒思考を極めるときは、「自分は今もやもやしているんだ」とどれだけしっかり自覚しようとするかが勝負になります。
ポイント③:思考するとは、ゼロ秒思考メモをすること
3つ目のポイントは、「思考する」=「A4サイズの用紙に1分間でゼロ秒思考メモを書く」と定義してしまうことです。
つまり、手元にA4用紙とタイマーとペンを用意していて、何かしらそこにメモ書きをしている時間以外は全て「思考停止している」とみなすのです。
極論に感じるかもしれませんが、思考するという行為をこのように定義すると、自分が思考停止しているかどうかがすぐに判別できるので、もやもやを自覚するまで待つ必要がありません。「あ、自分は今なにも考えていないぞ」とすぐに気づき、そこから強制的に質問を作って思考を再開することができます。
これは私の私見ですが、常に瞬時に心の声に耳を澄ませてもやもやを自覚することは、現実的には不可能です。そのたびにいちいち手を止めてしまうので、たぶん業務が回らなくなります。
そうではなく、もやもやを察知したかどうかにかかわらず、意図的に思考を開始させるスイッチを物理的に増やすほうが現実的です。そうすることによって言語化能力がさらに上達し、結果的にもやもやが激減するという認識のほうが正しいと思います。
私が、「思考する」=「ゼロ秒思考メモをすること」、「思考停止する」=「ゼロ秒思考メモをしていないこと」と再定義したことによって、以下の変化が起きました。
・ぼーっといつのまにか思考停止してしまう時間がほぼ皆無になった。
・心の中の小さなひっかかりを、これまでの10倍速く解消できるようになった。
・その結果、納得のいく解決策を見出して、前向き状態を維持できるようになった。
・作業や行動が劇的に速くなった。
・細かい事務作業をめんどくさく思わなくなってきた。
・ゼロ秒思考メモで自分がちゃんと成長できている手ごたえを感じており、楽しい。
最後に
今日私がご紹介した考え方は、本当であれば4年前の自分に気づいてほしかったことでした。
ゼロ秒思考メモは、具体的な行動内容が非常に明確に示されているのでとても取り組みやすいです。しかし、その本領を発揮させて本当に生産性を上げようと思うときは、ただ形式に沿ってメモを書くだけでなく、「そもそも自分にとって、思考するとはどういう行為を指すのか?」という本質を自分なりに押さえておくことが重要です。
私がご紹介したものは、私自身が実践を通じてたどり着いたひとつの答えですので、これが全てだとは思いません。
ただ、これからゼロ秒思考に挑戦していこうとする方にとって、赤羽さんの著書を補う意味で参考にしていただけたらなあと思います。
★こちらの記事は、続編もございます。ぜひあわせてお読みください。